【トモさんの部屋】平和とスポーツ

2020年08月15日 | ■トモさんの部屋

中川です。教員の息子であり、社会が得意であった事もありますが、人類の歴史からの学びは、今でも私の生活の一部です。今年も終戦記念日を迎えました。私は21歳のとき、唯一の日本代表試合をイラク戦争勃発により派遣中止となって以来、平和とスポーツについて、より一層考えるようになりました。実業団時代、会社員としてモータースポーツに関わっている時、起業してから、終戦記念日を迎えるたびに考えています。娘が「小中学生の主張」という夏休みの宿題をやっているので、私も「トモさんの主張」として述べてみたいと思います。愚見ですが、お付き合い頂けると幸いです。

スポーツは平和でないとできないと思います。でも、スポーツは平和を招くと思います。
新聞記事を見つけました。プロ野球選手だった杉下茂さんの記事です。中国で敗戦を迎え、収容所の中でスポーツ(野球)が心の支えだったという内容、大好きだった野球の晴れ舞台・甲子園も戦争によって奪われ、そして戦地では仲間の死に無感情になるなど想像を絶する経験をしたという...収容所という絶望的な環境下でも野球を楽しみ「収容所ベースボール」と言われたそうです。太平洋戦争は「大東亜共栄圏構想」という「アジアから白人を追い出して、アジア人の手でアジアを反映させる」という正義からはじまった戦争です。この戦争に負け、敗者となった日本人は過酷な運命をたどりましたが、それでもなおスポーツによって「生きて帰る」という強い意志を貫けた杉下さんの経験から、スポーツの力を改めて考えさせられます。
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※2020.8.14中日新聞記事。衝撃的な記事です。

現代でもスポーツの争い方を間違えると、戦争と同じ事になると思います。
1964年東京五輪と2021年の東京五輪で何が違っているのか?何が同じなのか?を考えました。1964年マラソンでメダルを獲得した円谷幸吉選手は、その後の日本人が彼に与えたプレッシャーによって自殺させてしまいました。2020年、来年の東京五輪を迎える私たち日本人は、プロレスラー木村花さんをSNSを原因とした誹謗中傷で自殺させてしまいました。その間にも自殺したスポーツ選手は少なくありません。命を奪わずとも、中学生や高校生の過度なトレーニングや過激な思想によって身体ならびに人格形成の段階で、指導者や親が「人間として殺してしまっているケース」も消えません。これだけ情報が溢れている社会にありながら、正しい情報が届かず、中学卒業まで初潮が来ない中学生アスリート、競技引退後に精神疾患によって普通の生活すら苦痛となっていまう元女性アスリート、が後を絶ちません。スポーツを事業としている私達は、今一度、この現実に常に考えて活動する必要があります。
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※円谷幸吉選手の遺書。ぜひご一読ください。

互いの意見を尊重し合い、譲り合いながら集団を盛り立てていく事が大切だと思います。
戦争を始めた戦争指導者が全員戦争賛成だったかというと、それは違う、と歴史資料が示しています。それでも賛成の決議をして、戦争をはじめてしまったのは同時の軍部であり政府です。その転機は、当時の政府首脳が暗殺された2.26事件だったと言われています。2.26事件をきっかけに政治での軍部の影響力が増し、政治家が軍人に真向から意見を言えない状態となり、結果、様々な「戦争回避」の取り組みは、日本の世論の後押しも相まって、戦争開戦へまっしぐらへ突き進むこととなったのです。勿論、戦争回避に動いた軍人もいました。山本五十六海軍大将は、アメリカとの戦いを「川中島の戦いひよどり越え桶狭間の戦いを一緒にやる戦いになる」と表現したそうです。それだけ、その頃のアメリカは圧倒的に強かったのです。戦後75年経って、今でも集団指導の会社や団体では、頭の意見に沿う人間が首脳陣を固めるケースを耳にします。主義主張が強い人間ばかりで物事が決してしまうのは好ましくない。もし戦争の教訓を今に生かすのであれば、意見が違う人、反対意見を言う人、意見の言いやすい環境、を組織の頭は常に意識する事ではないかと考えます。
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※山本五十六海軍大将の言葉。中川の組織運営の指針です。

戦後75年、平和だからこそスポーツが栄え、皆さんに楽しんでいただけます。だらかこそ、スポーツが平和を招く、そこを追及してトモランを運営したいと考えます。これが、スポーツ従事者の責務だと思うわけです。平和な時代こそ、より平和な社会になるためにスポーツが存在していなくてはなりません。

(中川 智博)

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